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WKSS座談会 FINAL

 修斗ニュース誌上で、好評を博してきたWKネットワーク久保豊喜代表と修斗首脳陣の座談会。
 その最終回をX−SHOOTO誌上で公開します。
「皆さんが、認めていないパンクラスとはどういう部分なのですか?」という核心をつく久保代表の問いに対し、修斗側からはどのような返答があったのか。
 この続きをご覧ください。
(司会/和良コウイチ、構成/高島学)

久保 皆さんが、認めていないパンクラスとはどういう部分なのですか?
若林 最近なんかは、認めていいんじゃないのという……、
久保 いえ、ちょっとまって。認めなくてもいいと思うの、僕は。ただ、認めていないのはシステムであって、選手ではないということでしょ?
鈴木 そうです。ハッキリ言って、トップの人間の言動に信用がおけない。これ書いてください。それにプロモーションにとっては商売敵で、もっとも嫌なことをされてきたところですし。
久保 とにかく(苦笑)、試合ではないということですよね。
若林 試合内容は、認めていますよ。
久保 近藤君や菊田君、前田君、認められる選手は多いですよね。
若林 退団しているけど、美濃輪選手とか。認められる選手は多い。
久保 その「選手憎しではない」という部分をハッキリと伝えないといけないと思うんです。そうじゃないと、選手同士に壁ができてしまうし。修斗さんから見て、問題なのはパンクラスの何某であって、選手ではないと。そこをハッキリ伝えた方がいいと思いますよ。
鈴木 選手自体の話ではないです。
若林 僕は尾崎社長とは仲良くしていないけど、選手とは話をしていますよ。選手は認めていますよ。個人名は出さないけど……。
久保 今はうちのデモリッションもそうですけど、選手を判断する材料はいっぱいありますからね。
──そういうことでいうと、デモリッションに出場する選手の明確な基準というのはあるんですか?
久保 基本的にプロの試合を経験している選手です。デモリッションはあくまでも家内工業で、磯野と相談して決めています。アマチュアの戦績、他のプロのリングでの戦績、あと道場を介しての申し込みがあった選手など。つまりは家庭内工業なんで……、
──目に見えるところよりも、日々の練習ということですね。GCMの選手なら、それで理解できますが、他の道場からデビューする選手の場合は?
久保 JTCで優勝したり、入賞している、もしくは修斗さんやパンクラスのゲートでやっている選手。そのなかで危ないと思う選手は使わない。最悪の場合、死なないという選手を選んでいます。
──デモリッション・アトムというのは、ホームページのコンセプトを読んでも、あまり理解できなかったんですが、クラブでやっている以外の部分で本戦と差はあるんですか?
久保 アトムは修斗さんでいうなら、クラスAとBのB、いや、それ以前の問題ですね。デモリッションで強い選手と当てるのは問題があるので、上がったばかりの選手とデモリッションで勝てなかった選手が出場する場です。
──デモリッション自体が、修斗やパンクラスに出られない救済の場という側面があり、アトムはさらにその救済の場ということですね。
久保 そういう選手でも、負けちゃうと使いづらくなるでしょ。デモリッションのためのデモリッションになっちゃうんで。でも、あとJTCで優勝した選手をある程度のレベルにある選手とぶつけるのも危険だし。だから前年の優勝者と今年の準優勝者をぶつけるとかね。前のアトムで負けた子とデビューの子を当てるとか。
──選手を救うというのは良い話ですが、同時にお金を払ってくれるファンに対して、レベルの低い試合を提供することになっているのではないでしょうか?
久保 お金を払うレベルであるかどうかは、誰が決めるんですか?
──観客でしょうね。
久保 観客が決める……。じゃあ、ダメなレベルなら観客はゼロになってしまいますね。それに藁谷さんは、観客とはどれくらい会話をしているんですか?
──僕は記者のなかでは、少数派ですけど、わりとする方なんですよ。
久保 されているわけですか。彼らは満足感を持たずに家路についているわけですか?
──デモリッション・アトムに来るファンとは、話をしたことはないです。それは一般の格闘技ファンと話すというレベルの話で。
久保 そこが僕としたら難しい話で、お金を払う価値があるかどうかを……、
──決めるのは観客です。
久保 じゃあ、観客の人との対話というのは、どこで成せばよいのでしょうか?
──いや、今の話で言いたかったことは、プロというのは見せてナンボという大義名分のところと、プロとはいってもチケットを売れる人という部分はあると思うんですよ。そこら辺のバランスというのは、どのように捉えられているのかなと。赤字興行が続くのも厳しいと思いますし。
久保 とにかく赤字はずっと生み出していますね。正直言って、道場をやっている部分、選手と触れ合う部分は多い。でも、ここにいる人間は皆、マスコミさんや、ジャッジの人、道場の人、プロモーターなわけで、一般の人の意見を拾うのは難しいじゃないですか。でも、お客さんがお金を払って見にいくことを満足感だと捉えると、「PRIDEは修斗の何倍素晴らしい興行なんですか」という問いかけに成りかねないですよ。僕らがPRIDEに対して、「どうなんだ」という疑問を持っているだけに、その質問には明確に答えず辛い部分はありますね。
高島 いや、今の藁ちゃんの質問だけでなく、この座談会自体、この業界では本当に難しい部分の話ばかりになっていると思いますよ(笑)。
若林 尾崎さんとか、読んでるんじゃないの?
久保 いや、尾崎さんには僕が渡した(爆笑)。
──今の話の根本的な部分は、赤字を出し、まだ技術が未熟な段階の選手を試合に出し続ける興行を続ける必要があるのかという部分に……、
久保 いや、ごめんなさい。僕ね、真正面から答えていないかもしれないけど、最近、坂本さんにもよく言うんですよ。
──今、坂本さん、席を外していますけど……。
久保 いや、いないけどね。お金と権力を多少持たないと、正直言って、目的地にはなかなか着きませんよ、と。そういう話をするんですよ。
(坂本さんが席に戻ってくる)
久保 坂本さん、なんかねぇ、
坂本 ハイ、
久保 お金儲けに関して、過敏に成り過ぎていると思う。もうちょっと、金儲けしたほうがいいじゃないかなって。コミッションさんの現状を考えても、もっとお金を持つべきですし。
若林 本当、思いますよ。3バカ・トリオと言われようが……、
久保 3バカ・トリオって呼ばれているの? 
若林 そうですよ。でも、全然構いません。坂本さんがプロモーターで、僕なんか協会の事務局長で、それで「あくどく儲けてベンツ乗りやがって」とか言われている。でもね、例えベンツじゃなくても「車はないんです。チャリンコなんです」なんて言ったって、誰もこんな仕事をやろうと思う人間なんていないから。金儲けの話については事実と違っていても、ほんと、誰にも否定しないでやっていますよ。仲間内では、ひどい言われようだとか、慰めあいながらね(笑)。
鈴木 一度ね、アライブの梅村君と話をしたときに、お金の話になって「プロモーターの坂本さんが、外車乗り回してブンブンいわしているわけでもないし、全体が儲かっていないのに、一部の人間が搾取できる状況にもない」っていう話になったんです。そうしたら、彼は「いや、僕は坂本さんにはベンツに乗ってもらいたい。修斗のトップの人間がそれだけの生活をしていないと、夢が持てない」って言ってましたね。
若林 組織のトップでこれだけ仕事をやっているのなら、都内に一戸建てがあってベンツに乗っているぐらいじゃないと、本当は。
久保 僕が思うのは、流出していく選手のコントロール、これが権力のコントロールに繋がるわけだけど、それとお金の使い方を間違わないかぎり、修斗は道を外すことはないでしょう。なのに、坂本さんはお金儲けを汚いものとして捉えている部分があると。
若林 逃げているよ、金儲けから。
久保 権力の行使と金儲けに、もう少し貪欲になることで、正常化する部分もあると思う。プロモーションが、体重をあげないと使わないなんてことがあっては、選手のためにならない。そのためにも、坂本さんが商売を大切にしないと。
若林 体重を無理やり上げて、大きな相手と戦う──。それが年収を増やす道と本気で考えている選手のマネージャーは、バカだよ。格闘技に置いてはね。
高島 安全性を選手側にいる人間の方から、崩してしまうのは本当に危険だと思います。
若林 どうせ、負けちゃうよ。そんなことをしたら。
高島 いや、勝ち負け以上にケガをする競技なんだから、僕は絶対に反対なんです。そういうことは。危険を少しでも少なくする。だから、これは体重を上げるだけでなく、過度の減量も同じことなんですけど。僕は実際に戦っていない人間だから、絶対に安全性だけは無視してほしくない。「負けてもいい、次がある」なんて試合前に言っているマネージャーがいること自体が信じられない。
久保 選手のケガに関しては、横についている人間が、もっと慎重にならないと。選手が戦いたいんだから。
高島 親まで連れてきて、「戦わせてやってください」なんてことがあれば、流される気持ちも分かりますけど。それは気持ちであって、金儲けじゃない部分で。あと、修斗のライセンスの問題で、他の組織の人を認めるとか、かなり修斗の方から見た意見が大半を占めていたのが気になったのですが。今のプロフェッショナル修斗のリングに、それだけ選手が上がりたいという魅力があるのか。そこをもっと作り上げないといけないのでは。
鈴木 確かに、その通りだと思います。ライセンス料を出して、今年から血液検査に加え、目の検査まで行うことが決まった。それまでしなくても、試合ができる場は他にありますし。
若林 選手がしたいかどうかは、俺は関係ないね。プロモーターなら、欲しい選手には声を掛けて、待遇を与えて。商売だから、その辺は。
高島 でも、若林さんはプロモーターじゃないわけですよね。
若林 プロモーターだよ、一応。
高島 じゃぁ、そういう状況を用意し、大会を開いているんですか? 違いますよね。プロモーターとして。「修斗は、こっちが認めた選手は誰でも上がれるようになりましたよ」と言っても、手を挙げる選手がどれだけいるのか。手は挙げました、「でも、その条件じゃ出られない」なんて言われれば、かなり恥ずかしい状況になるし、そういう部分を坂本さんだけに求めるのは、酷じゃないですか?
坂本 これだけ選択肢があるなかで、修斗を選んでいる理由は、待遇だけじゃない。そういう部分が残っているという気持ちを、僕は持ち続けているんです。修斗に上がり続けたいという気持ちを持っている選手に満足感を持ってもらえる状況を僕は作っていかないといけないと思っています。
──何か対策はあるんですか?
坂本 良い試合を提供して、「修斗のリングに上がりたい」っていう気持ちを強くもってもらう。そういう試合を組んで行きたいですね。
──それだけですか? マッチメイクなんですか、修斗の魅力を上げるには?
坂本 もちろんファイトマネーなんかも、そうですよね。
高島 修斗に思い入れを持ってもらうことを期待するとか、そういう部分でプロモーターとして甘いと思いますけど。それこそ、久保社長が言っている権力の行使、経済観念の欠如かと。選択肢が広がっているなかで、さっきから言われているように修斗以外で才能ある選手が活躍している状況下においては。
──トップ選手が他に戦いの場を求め、修斗には戻ってこないという状況については、どのように思っておられるのですか?
坂本 仕方のない部分はあると思います、ハッキリ言うて。子供やないんやから、それで「体重を上げろ」といわれれば、それに従えばエェわけで。出て行った人に関しては、努力不足はあったかもしれないです。でも、全力は尽くしていましたから。もちろん、金を大切やけど、格闘技はそれだけやないと。
久保 そうですよね。
坂本 だから、商売下手なんかもしれないですけど。格闘技をやる上で、一番大切な部分は何かというのは、僕は理解しているつもりですから。
──安全面とお金の話は終わりにして……、鈴木さん、何かありますか?
鈴木 いや、出て行く話に関しては、私は事務的な処理をするだけなんで。他で試合をする選手でライセンスの返上が必要なケースは、パンクラスだけなので、そういう選手からの連絡は私のところへ来ます。そういう選手に関しては、「セコンドで修斗の会場へ来るときは、気兼ねなくね」というような話をするぐらいですね。お金が一番大きな問題かというと、それは選手の立場に寄ると思います。試合の機会を求める選手、華やか場を求める選手、それぞれですよね。修斗を離れる選手に関してファイトマネーというのは、実は一握りですよ。他に出るからお金になる選手なんて、実際のところこの世界ではごく稀な存在ですから。パンクラスに移った選手は、試合がしたいからでしょうね。地方の選手とか、試合機会が少なくて。プロモーターの事情で、一つの道場からは一まとめで選手をよんだりして、どうして「鉄は熱いうちに打て」というオファーが出せない。経費のことを考えると。
──ということは、離れる選手がいるということで、ある意味、プロモーションが助かっていると。
坂本 それは、違うんじゃないですか?
鈴木 修斗で使いづらくなった選手に関しては、実際は助かっていると私は思います。
坂本 デモリッションさんは助かっている。でも、使いたいけど使えなかった選手がパンクラスに行って、もうオファーが出せなくなるのは、断腸の思いですよ。
──久保社長は、このなかでパンクラスを最も知っている方です。パンクラスがこれだけ、出場選手が多くなると、試合機会はプロ修斗と違いがあるのでしょうか?
久保 パンクラスにも限りがあります。
坂本 元シューターという名称があるから、使われやすい選手もいるけど、増えれば決してそんなことなくなってしまうんじゃないですか。
久保 そりゃあ、不満のある子はいますよね。次の試合を決めてくれるなら、「こっちに出ます」ということでしょうね。ただ、最初は躊躇していたけど、そこを踏み込める人間が増えてくると、やっぱり気楽になってくるのでしょう。
若林 単純に数の論理だよ。向こうはプロが30人から40人。こっちには140人。そりゃあ、機会は変わってくるよ。でも、パンクラスも給与システムも契約じゃなくて、ファイトマネー契約になってくるでしょう。ルールも含め、全て修斗と同じようになってくると思うよ。その時に、どっちをやりたいかという部分になってくるよ。パンクラスに憧れている選手もいるわけだし。ウチにいた北岡だって、パンクラスが好きで格闘技を始めたわけだから、それで良いんじゃないかな。
久保 パンクラスは僕から見て、どんどん良い方向に変わっていますよ。
若林 いや、僕もそう思いますよ。信用していないだけで。
久保 例えば、あなたが一番問題にするトップの方だって、ジャッジのこととか気にして正そうとしているくらいだから。変わらざるをえない環境の変化を感じているから、変わっている。だから、最後はみんな、一緒に競い合えるようになれば素晴らしいなと思うわけです。
──なんで変わったんでしょうかね。
久保 やっぱり、外に出て。外からの選手を上げるようになって、安閑とできなくなった。だから、変わったんでしょう。こういう言い方したら、藁谷さん、あなたは笑うかもしないけど、パンクラスの選手の技術は変わっていますよ。近藤君だって、大きく成長している。
──それはそうですね。パンクラス育ちのアマチュアの選手が増えたということも大きいですよね。
久保 あとは梅木さんの存在じゃないですか。
若林 コミッションのおかしなジャッジを見たとき、梅木さんの顔が浮かびますよ。ハハハハハ。これ絶対に書いてよ。
──修斗は今、色んな選手が外に出てしまっている部分があるんですが。デモリッションは、コンセプトがハッキリしているので、そういう問題で悩む必要はないでしょうね。
久保 ないです。良くなったら、早く卒業してって思いますよ。DEEPの佐伯君にも、中村大介がよくなったとき「早くそっちで使えよ」って言っていましたからね。デモリッションは卒業と出戻りの連続だと思いますよ。それしか価値観は見つけられないし。時々、格闘技雑誌でウチが侵略者だってされるでしょ? ねぇ、藁谷さん、高島さん?
──そうなんですか?
高島 藁ちゃんと僕は、業界でも本当に格闘技雑誌を読まない双璧だと思うんで、あんまり知らないんですよ(苦笑)。
──ハハハハハ。
久保 僕らにとって、その侵略者というポジションが一番なんですよ。でも、その侵略者というイメージに悪意を持って捉える主催者がいるとしたら、バカですよ。頭おかしいですよ。誰かが侵略していて、リング上でせめぎ合うから戦いが面白くなるのに。
鈴木 一時期、修斗でもオフィシャルとWKの意地の張り合いがありましたね。
久保 だから、それをまた取り戻しましょうと坂本さんとは話していて。
坂本 合同練習をしてもあまり仲良くならないようにと。2ヶ月に1回くらいで。
高島 今度、体験記者レポートで藁ちゃんが、合同練習に参加したいと言ってましたよ。
若林 藁ちゃん、でも壊したらダメだよ。
──そんなわけないじゃないですか!
若林 壊し屋の異名を持つくせに。
──裸なんて、道衣専門だから。そんな話は置いておいて、この今日はこのあたりで。みなさん、長時間、興味深いお話をありがとうございました。

◆修斗首脳座談会。次回、修斗ニュース第10号(9月26日発売)では、新企画に入ります。ご期待ください。

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